Q&A


  ■アドリブに「弾いている音をリアルタイムに認識する力」は必要ですか?
質問:初めまして。Z'nと申します。こちらのサイトのQ&Aは、
いつも大変楽しく読ませて、また参考にさせて頂いております。
ギターにおけるアドリブについて、Q&Aに一通り目を通しても
分からなかったことについて質問させて頂きたいのですが、
アドリブ演奏時には、歌唱・鼻歌・口笛などと同様の感覚で、
リアルタイムに出そうと思った音を弾き、繋げていくことが
出来るべきなのでしょうか。例えば、即興で作っているメロディを
鼻歌で歌いながら、それと同じメロディをギターでも弾ける、
という具合です。こちらのQ&Aでは、アドリブを”高いレベル”
で弾けるために必要不可欠な要素として、「スケール内の
どの音を弾いているかを、移動ドでリアルタイムに認識出来る」
ことを挙げておられましたが、これは「鼻歌と同様にギターを
弾ける」レベルに相当するのでしょうか。
この技術が無ければ、アドリブは「あらかじめ覚えているフレーズを、
スケール内の音を使ってある程度当てずっぽうに作った
即興フレーズで繋げていく」ものになるのではないかと思います
(アマチュアではこのようなアプローチを取る人も多いようです)。
また、このような技術がアドリブを”高いレベル”で演奏するのに
必要ならば、弾いている音をリアルタイムで認識出来るようになる
ためには、どのような練習をすればよいのでしょうか。
ご多忙のところ恐れ入りますが、ご回答を頂ければ幸いです。
長文失礼致しました。(from Z'nさん)

回答:Z'nさん、始めまして。このサイトのQ&Aはゴースト編集者無しで
僕が自分で作っているので(笑)最近本当に更新が時間的な問題で
困難になってきて、2008年、このQ&Aコーナーの行く末は僕にも
全くわからないのですが(笑)出来る範囲になってしまいますが、
頑張らせていただこうと思っています。

>必要不可欠な要素として、「スケール内のどの音を弾いて
>いるかを、移動ドでリアルタイムに認識出来る」
についてですが、あくまでも「要素」にしか過ぎないんですよね。
要素、ということは「他にも必要な要素」があるということです。

ちょっと考えてみましょうか・・・(そうそう、僕このQ&A書くのは
「リアルタイムに、話している気分で書いている」ので、チャットに
近いんですよね。理論書とかも調べてませんし。あんまりそういう
風にやっちゃうと、それなら教則本作った方が良いですよね。
僕は現時点ではこう考えている、というのを綴って書き溜めていったら
こんなに膨大なデータになっちゃったんですよ(笑))

・メロディーを作る能力
・相対音感
・フレーズのストック(やりたいジャンルに向いているフレーズ)
・フレーズをつなげる力(流れるようなメロディー)
・慣れ
・ノリが良い、ということ
・音色が良い
・バックのコード進行がぼやっとでも認識出来ている
・そのバックのコードの、分散和音が弾ける
・その楽器らしいフレーズ(ギターなら、ギターらしいフレーズ)

他にもあるかもしれませんが、ざっと書いてみました。
鼻歌、というのは「相対音感」に近いですね。だけれども、是非Z'nさん
に試していただきたいことがあります。早速、鼻歌で何かコード進行に
合わせてアドリブしてみてください。どうですか?アドリブできたと
思いますけれど、それは「満足行くもの」ですか?
もし、満足行ったのであれば、もちろん何にも問題無く「OK」だと
思うんですが満足行っていないのであれば他に要因があると思うんですよ。

僕がプロミュージシャンになるきっかけって、最初はMIDIデータとか
ホームページ上での音楽配信とか、コンピューターをメインにした
音楽コンテンツを作っていた事なんですね。1998年は良い年でした。
なんと言っても、ピーター・アーツがK-1グランプリで優勝したし(笑)
僕も初めて音楽業界に入った&音楽のマルチメディアコンテンツって
まだ実験的(mp3って言葉自体がまだあったか無いかわからない時代)で、
何でも実験していました。例えば、「自動アドリブ生成プログラム」とか。
コンピューターが勝手にスケールの音を使ってアドリブで演奏していくような
プログラムを作ってみたことがあるんですよ。(もう全部やり方忘れました(笑))
結果は・・・全然つまらないアドリブでしたね。(僕のプログラムにも
当然問題あり、だったからですが)

アドリブ=即興、それだけじゃ、駄目だと思うんですよ。
ロックならば、ロックらしいフレーズで弾かないとかっこ悪いし、
ギターならば、ギターらしいフレーズで弾かないと王道では無いです。
勿論、ギターで、バイオリン風のフレーズを弾く(ネオクラシカル系)とか
管楽器風のフレーズ(ジャズ系)を弾くというのも今や普通ですけれど、
基本はギターの伝統的なフレーズを知っていた方が良いと思うんですよ。
(実際にどの程度やるかどうかは別として)

勿論、ジャズやるなら、チャーリー・パーカーのようなノリで、
レガートな音色で弾けた方が良いですが、ロックでワイルドにやるなら
それじゃ合わない。であれば、それってスケール内の音を即興で弾く以外
にも要因があるということです。
フレーズがいくら良いフレーズでも、音色がダサい、リズムが悪い、では
またカッコ悪いでしょうしね。そういう要素もあります。
コード進行が転調を含むようなものだと、スケール・チェンジする必要も
あります。テンポが速い曲や調性が複雑なものだと(自分が慣れていない
ようなコード進行の感じ)だと鼻歌だけでは乗り切れない事もあるでしょう。
ですから、指板上の音のリアルタイムな認識という事だけにこだわらずに
上記の要素を総合的に練習していくことが重要ではないでしょうか。

おすすめの練習方法は、全ての要素を組み合わせて練習すると何が何だか
わからない混沌とした内容になってしまうので、「今日は音色を良くする
練習」とか内容を限定してやると良いでしょう。音色を良くするには
演奏フォームの問題が大きいですからね。アドリブにはそういう要素だって
絡んできます。コード進行を「CM7-A7-Dm7-G7」と限定して、A7から
Dm7に上手くつなぐ練習、とかそういう細かい練習の積み重ねが大事です。

最後に、弾いている音をリアルタイムに認識する(音感養成ですよね)には、
スケールを弾きながら一緒に歌ってみる、みたいな練習も良いと思います。
バンドを結成してギターを弾きながらコーラス(ハモリ)を担当する、とかも
音感養成には良いですね。色々書きましたが、ヒントになれば幸いです!

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