Q&A


  ■自分の作曲が既存の曲に似てしまうのですが?
質問:作曲してもリフ、ソロがどうもインペリテリやインギーの
ペダル奏法に似てしまい、自分の音とはほどとおいんですが、
若手メタルを聞いててみなさんルーツがでてくるので面白いんですが
インギーをタイトにしてテクも今風にしてても、どうも同じに
聞こえるので完全なオリジナルはないと思いました。
しかし、彼らは音が違い同じスケールを使っても
違うアプローチをしているのでここで差がでてくるのかと
思ったのですが、どうしても私の引き出しが少ないせいか
差がでてこないです。やはり、いろんな曲を聴いてこういう
アプローチが必要なんだという事を研究したほうがいいですよね?
JAZZを取り入れようとして(サラボーン、モンゴメリ、
コルトレーン)を聞いてます。特にサラボーンを聞いて
鳥肌がたちました。変な質問ですいません!(from渋谷さん)

回答:渋谷さん、またまたドモです。(^^)渋谷さんは熱心ですね〜。
感心します。大学生さんですか?最近は音大生や専門学校の学生より
も一般の大学生さんのバンドマンの方が真面目に練習しているイメージ
が僕の中にあります。どこにいてもやる気さえあれば勉強は出来る、の
好例ですね(^^)。

が、僕の持論に「良くない方向に一生懸命努力すると、その良くない
度合いがより一層ひどくなってしまうので、努力の方向性・合理性を
検討していくのが重要である」というのがあります。
(渋谷さんが良くないという意味ではありませんからネ。一般論として。)
渋谷さんの考え方、うちの生徒等にも結構多いですが、僕はいつも
共通した返事をするようにしています。

「インギー好きならインギーやれば良いじゃない。逆にどうして
Jazzやるの?」って。

音楽って何かを取り入れようとして、ってやっても上手くいかない気が
僕はします。極限に追い込まれた状態で出てくるフレージングは
血と汗と涙の結晶で磨き上げられたフレーズしか土壇場では出てきません。
レコーディングスタジオの恐怖感は解りますか?関係者も沢山見ている、
くだらない間違えをしたら一気に自分の評判も地に落ちる、
二度と仕事の依頼の電話がかかってこないのではないかというネガティブな
思考が脳をよぎる・・・

うちの事務所では決まってこう言われます。「加茂さん、カッコ良い
曲作ってくれる?締め切りは今週中に上げておいて。任せたわよ。」って。
この恐怖感は半端ではありません。カッコ良いと誰が決めるのか?
自分がカッコ良いと思った曲が、フレーズが気に入られる保証はどこに??
気に入られなかったと仮にしましょう。必ずこういうコメントが帰ってきます。

「うーん、ちょっとダサいわね。具体的にどこがとかじゃなくて、
とにかく作り直して。3日後にまた聞かせてくれる?」

これって音楽の一般的評価であり、実に正しい評価をうちのトップは
していると思うんですよ。悪いものは何がどんな言い訳をしても悪い、
逆に良い物は機材がヘボかろうが、腕がちょっと錆付いてようが、
指がちょっともたついた結果、たまたま良かったフレーズだったけども
そんなの関係なく、良い。

しかし、作るほうはたまったもんじゃありません。締め切りは間に合わせ
ないといけない、しかも上記の意味で「良いもの」でないといけない。
うーん、多分ですね、この仕事に慣れていない人だったら精神が崩壊しますね。
そんな状況下で出来る事はただ一つなのです。

自分を信じて、自分が本当に気に入っていて、自分が本当に満足している
ものを極限まで自分を追い込んで作りあげ、「これで駄目って言われたら
潔くこの曲の制作は諦める!!」ってさわやかに思えるような心境で
プレゼンしないかぎり恐らく良いと思ってもらえませんし、プレゼン時の
説得力にもかけます。「これは本当に気に入っている曲なんです」って
心の底から言えますか?それが言えれば、インギー風とかそんなの何にも
関係ありません。

こういう仕事をしていると、他人の作った作曲(デモ)を色々聞かせて
もらうことも良くありますが、不完全な状態なのが自分でも解っている
のにも関わらず、平気で他人に聞かせる人がたまにいますが、
そういうのは僕には理解出来ません。

僕は最終的には上手い下手っていうのはどうでも良いんですよ。
とにかくやっつけ仕事が大嫌いなんです。魂の籠もった音が感じ取れれば、
ある意味技術は何でも良いんです。ここまでインギーに似ているか!!
って思える曲とか、ガッツが感じられて僕は逆にほほえましくて好きですけどね。

インギーの件で一つ突っ込んでおくと、彼の音は絶対にコピー出来ません。
仮に全く同じタイミングで全く同じ奏法で全く同じ機材で弾いても不可能です。
何故なら、彼のギターには”情熱”があるからであって、他のネオクラシカル系の
ギタリストの「それ」と彼の持っている物は天と地の差程違います。
何故なら彼はブルースを弾いているパッションであのフレーズを弾くからです。
まるでジミ・ヘンドリックスのフレーズを弾いているように僕には聞こえます。

僕なんかは未熟なので、そういう感情を込めてイングヴェイのフレーズを
弾こうとしたら無感情で冷静に弾けば余裕で弾けるパートが全く弾けない
状態に陥ります。僕は通常時はオルタネイトピッキングだったら16分音符は
平均してテンポ200で追うことが出来ます。イングヴェイの音を聴いて、
今どういうピッキングでどこのポジションで弾いているのかを耳で理解し、
同様にフレーズをなぞる事は可能ですが、イングヴェイのようにはとても
弾けません。彼にはロックの魂があるのです。これは理屈ではないですね。

ロックが好きならとことんロックを追うべきですよ。Jazzをやるときは
Jazzがやりたくなったらやれば良いんです。まずは何か一つでも良いから
アツくならなきゃ!!だからと言ってあくまでも僕加茂フミヨシがそう思って
いるというだけで、この回答は真実でも何でもありませんので、最終的には
自分の思ったようにやれば良いんです。何でもそうだけど、最後は人対人だし、
魂ですよ!!(全然突き放している訳じゃないんで、誤解しないで下さいネ。)
がんばってください!!!(^^)

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