Q&A


  ■ギターでピアノの音を出すにはどうすればよろしいでしょうか??
質問:返答ありがとうございます。やはりプロの方の言葉は
身にしみます。そしてまたまた質問させていただきますw
(連続ですいません)半年ほど前から僕は音色の研究をしています、
なぜかと言うとわが尊敬する心の師のポールギルバートの言葉で、
音楽的意義を向上させるにはギター以外のフレーズをコピーすると
良いとおっしゃられていたからです。そして今はピアノのフレーズを
コピーしています。ストレッチがきついの場面がありますが
なんとかがんばる毎日です、別にタックアンドレスや
スタンリージョーダンのようにできないと言う悩みではありません。
ギターでピアノの音色を出そうと思うのですがいかんせん出ないんです。
長くなりましたがまとめると、ギターでピアノの音を出すには
どうすればよろしいでしょうか??
ちなみに僕のギターはアイバニーズのRGシリーズです。
(from モンクさん)

回答:モンクさん、お返事遅れてごめんなさい!
年末が近づくにつれ何かとバタバタしてしまいこのサイトの
更新もなかなか思うようにいかず、という感じです。(>_<)
お返事時間かかる場合もあるかもしれませんが、必ず返信します
ので、気長に待っていてください!

さて、ご質問の回答ですが、まずギターでピアノの音を出すという
事に関しては基本的は「不可能」であるということを前提にして
回答をさせてくださいね。

まずですね、そのポールギルバートの言葉なんですが、直接本人に
聞いたわけではありませんのであくまでも推測ですが、恐らくこういう
意味じゃないでしょうか。

「音楽的意義を向上させるには、ギターらしいフレーズをマスターした
上で、さらにギター以外のフレーズをコピーすると良い」

という意味だと思われます。何故かというとポールギルバートのプレイの
多くにギターらしいフレーズが見られるからです。勿論フレーズの
アイディアであったり、音の選び方等、ギター的発想ではなかなか思い
つかない物も多く見られますが、やはり基本的にはギターらしいフレーズ
が多いと思いますよ。

また、(恐らくですけど)ピアノのフレーズをそのまま使う、とか
ピアノの音色をギターで出す、とかそういう意味ではないんじゃないかな・・
とも思いますね。例えば、ピアノの「ペダル」を踏んだサステインの
効いたフレーズに触発されて、そういう「サステインの効いたサウンド」を
ギターで出すにはどうすれば良いかな・・・と実験しているうちに
フレーズが出来た、とかそういう事なのではないでしょうか。

あとこれはポールギルバートに限った事ではありませんが、ギターの
フレーズに良くバイオリンのクラシカルなフレーズを取り入れて・・・って
いうのがあると思うんですよ。これに関しても「表現」はあくまでも
ギターらしい表現でないと意味が無いと思います。どうしてかというと
バイオリンの表現をそのまんまギターでやるんだったらプロデューサー的
見地からの考え方だとバイオリン奏者にそのフレーズをお願いしたほうが
よっぽど音楽的に意義のあるフレーズが演奏できるからです。
ピアノについても同じ事だと思いますよ。

僕のようにプロデュースやアレンジをしている人間の発想というのは
基本的に楽器には「その楽器らしいフレーズ」を演奏させようと考えます。
バイオリンにはバイオリンらしいフレーズ、ギターにはギターらしいフレーズ
ピアノにはピアノらしいフレーズ、を高いレベルで演奏させます。
その事によって各楽器を「オーケストレーション」させる事が出来るからです。
ロックだったら、ギター、ベース、ドラム、コーラス、ボーカル等が
一体となってそれらのフレーズが絡み合ったときに初めて音楽的意義のある
フレーズとなります。ですからセオリーとしては、ギターにはギターの
良いところをふんだんに発揮したフレーズを演奏させて、他の楽器と
絡んだ部分で表現していく、というのが基本の考え方になると僕は思いますが、
そのフレーズの「発想の元」として、ピアノやキーボード等のフレーズに
触発されて、新しい「ギターのフレーズ」が出来上がるならそれは
とても良い事なのだと思います。例えば、エディーのライトハンドも
アランホールズワースのフレーズに触発されて出来上がったものですが、
彼のライトハンドはギターらしいフレーズの中に溶け込んでいるから
カッコいいのであり、音楽的意義が高いのだと思われます。

ですから、ピアノのフレーズであれ、バイオリンのフレーズであれ、
あくまでも「ギターを弾く」という気持ちは忘れてはならないと思います。
そうでないと楽器が違いますから当然ピアノのフレーズはピアノには
叶いませんし、ピアニストに「全然弾けてないよそれ」って言われる
結果になることは間違いありません。でも、そのフレーズにギター的フィーリング
が込められているものであれば、逆にとても斬新なカッコ良いフレーズに
なる可能性は高いでしょう。イングヴェイとかも同じですよね。
バイオリンのフレーズをギターで弾く、という短絡的な物ではなく、
あくまでもブルースをベースにしたギター的表現力の中にバイオリンから
触発されたフレーズが入っている事によって、カッコ良い世界になっている
んじゃないでしょうか。あれをバイオリンみたいに一音一音丁寧に弾くような
発想で弾いても全然面白くないと思うんですよ。あくまでも、ロック・ギタリスト
としての立ち位置を明確にしているからこそであり、それにはロックギターの
しっかりとした基礎が備わっているからこそ出来る事なのだと僕は考えます。

ロック・ギターのしっかりとした基礎とはやはりブルースだと思います。
ポールもイングヴェイ等はブルース奏法、チョーキングやビブラート、
そういった基本的なギター奏法や表現力をマスターした、のを前提として
そのギタリストとしての見地からピアノやバイオリンのフレーズを見つめている
のだと思いますよ。モンクさんがギターらしいフレーズが出来るとか出来ないとか
そういう意味では全くありませんよ。そうじゃなくって、”ギタリストとしての
立ち位置は崩されない方が良いですよ”、という意味の意見でした。

最後に、「ピアノ的音色」に限った話で言いますと、スティーブ・モーズの
フレーズはかなりピアノ的フィーリングが感じられるものがあります。
どういったものかと言いますと、まず中指と親指でピックを持ちます。
左手はコードを押さえておいて、そのコードの12フレット上に右手人差し指を
軽く触れさせておいて、ピックでピッキングします。するとハーモニクス音が
鳴ります。さらに、モーズは右手小指でフィンガーピッキングをピッキングした
弦と別の弦に対して加えます。サウンドはクリーントーンにして下さい。
そのフレーズを巧く動かしていていくと、実にピアノ的な音色であったり、
フレーズが生まれます。さらに、モーズはギターシンセ等も組み合わせて
完全に独自の世界を作り出しています。お薦めの曲としては、
「COAST TO COAST」というアルバムの「LONG LOST」っていう曲です。
しかし、彼はそういうフレーズを使う一方で、ギターらしいカントリーの
フレーズを完璧に使いこなしています。(ギターという楽器はブルースやカントリー
が最もギターらしさを表現出来ると考えます)是非聞いてみてください!(^^)

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