Q&A


  ■加茂さんが独自に編み出したテクニックはありますか?
質問:前回もタメになるお話をありがとうございます。
お久しぶりです、3回目の質問となるchekinと申します。
いつの間にやらアコギの教則本も発売する事になったんですね。
おめでとうございます。本屋で見つけたら手にしてみますね。

…さてさて今回の質問は、加茂さんが独自に編み出した奏法、
及びテクニックというものはございますか?というものです。

最近エレキギターの演奏方法が大体網羅されている教則本
(加茂さんが過去にセッションした方の)を読んで、
「色んな分野の達人が独自のテクニックや手法を持っている様に
上手いギタリストもこの本には載っていない独自に編み出した
奏法というものを持っているに違いない」短絡的な考えが
頭に浮かんだんです。

そこで、自分が今まで見てきた日本人ギタリストの中で一番
上手いと感じた加茂さんに聞いてみようかなと思った次第です。
ご多忙かと思いますが、宜しければまたお返事を下さい。
(from chekinさん)

回答:chekinさん、ご無沙汰しております。
そういえば、chekinさんのハンドル名が、チェット・アトキンス
から影響を受けているのか?の問題がまだ解決してませんね(笑)
いつか、正解を教えてください。(^^)

それと、僕のギタープレイを気に入って下さってありがとうございます。
とても励みになります。これからも頑張っていきますのでよろしく
お願いします。m(_ _)m

さて、ご質問のお返事です。chekinさんの期待に応えられない返事
だったらごめんなさい。。。(でも、正直な気持ちでお返事しますので)

僕は、19歳でエレキを、22歳でアコギを始めました。今年で34歳
になりましたが、普通のプロギタリストの人に比べたら圧倒的に
ギター歴が浅いです。それが、自分の中で凄いコンプレックスで、
そんな僕がギターをうまくなるには歴(要するに何年弾いてるか)では
かなわないので、練習時間(1日何時間弾くか)で少しでも差を埋めよう
としか思いつかなかったんですね。その頃の僕の頭では。

今回出版する「ひたすら弾くだけ!アコギ・トレーニング」の中の
コラムに、僕の23歳の時の事が書いてあります。この「1年間」は
僕にとって思い出したくない1年間です。かなり辛い感じで過ごして
いました。22歳で大学を卒業し、23歳の終わりに音楽業界に
入ったのですが、22歳〜23歳の間の事は思い出したくないので
これまで詳細を語るということは避けてきましたが、今回の「ひたすら
弾くだけ!アコギ・トレーニング」の中にその時期の事が書いてあります。
ちょうどアコギ歴1年の時ですよね。是非、読んでみてください。

で、23歳の終わりの時に認めたんですよ。僕、自分で。「あぁ、俺は
ギターがへたくそだ。」で、そこから何をしていくか、ということを
考えた時に、色んな転機があって、音楽コンテンツのクリエイターに
なりました。その頃の音楽コンテンツ業界は凄く直感型というか、実験的
な精神が仕事の根底にありました。思いついた事をまずやってみる、
やってみてから結果(要するに収入の事です)は考える、という感じが
確実にありました。それが時代的に凄く自分のその時の状態に合っていた
んですね。僕は、ギターが弾けない。でも、自分が得意とするコンピューター
で音楽業界の中でビッグ・アーティストと仕事が出来てとても満足している。
そのように考えていました。

それから2年が経ち、色んなタイミングや転機の中で、ギターで仕事を
するようになりました。とは言っても今のように弾けた訳ではなくて、
ジャズ・クラブ等でボーカルの伴奏をしたり、等の仕事でした。

で、そのうちに、現所属事務所である(株)オフィスルイからバック・ギタリスト
のオーディションというのが人ずてに回ってきて、僕はオーディションを受ける
事にしました。その時点でも、まだ僕のギターは全然ヘタでしたね。正直言って。
ただ、音楽性が評価されたのか、社長から「あなたはギタリストではなく、
プロデューサーを目指しなさい」とアドバイスを受けて、いきなりプロデューサー
として所属させてもらえる事になったんです。凄いプレッシャー・・・・(笑)

まだ、全然ギターテクの話になりませんよね。もう少しお付き合い下さい。
それで、(株)オフィスルイはメジャーレコード会社”Vap"の音源制作を
沢山やっています。その音源制作に関わらせてもらえることに・・・というか、
音源制作を自分が担当する事になりました。ここで、またポイントになるのが、
この時代から、生演奏で全部作る音楽というものから、コンピュータの打ち込み
を駆使して、生演奏を減らしていく動きが世の中で出て来ました。

その頃に、僕は自分の能力に一つ気がついていました。自分は、ギターだけじゃなくて
ギター以外の楽器もギターと同様に”イメージする”事が出来るということに。
あ、どの楽器も全然弾けないんですよ。だけど、イメージできるからフレーズは
思いつく。だから、それを打ち込みで再現する、ということに全力を傾けました。
幸いコンピュータは得意としていたので、毎年毎年新しい音源が登場しますので、
2000年の音源ですと若干古いですが、その時代としてはそれなりの打ち込みが
できたと思います。

それで、僕はギター自体も打ち込んだんです。自分で弾かないで。
僕のサイトのPRODUCTSメニュー→画面右にあるグレーの「PRODUCTS MENU」
を見ていくと(少し画面下にスクロールします)、”Programming”という
カテゴリーがあります。この中にある「港の作り話」という曲名をクリック
して下さい。すると打ち込んだ時の思い出・・・みたいな話が載っていますが、
”視聴(Flash):224KB”というリンクがありますのでそれをクリックして下さい。
ギター・ソロが聞こえると思います。これは僕がシンセで打ち込んだものです。
(勿論、アレンジも全体の打ち込みも全部自分でやっていますが)

このソロを聞いて、どう感じられたかはchekinさんの感性に委ねるとして、
僕自身の考えを述べると、僕はギターがへたくそだ、ということを認め、それが
悔しくて、練習しました。今でも練習を継続しています。それは自分自身をへただと
認めたあの日からずっとです。ただ、そんなへたくそでもなんとか音楽をやりたい。
そんな僕に音楽の神様が、「音をイメージして実際の音として完全再現する能力」を
僕に与えてくださったのかな・・・と思っています。当時を振り返るとそんな感じ
ですかね。そして、練習を続けていた事が幸いして、ギターの教則本の模範演奏
等をやらせてもらえるようになりました。僕はプロデューサーとしてあらゆるジャンル
の楽曲を担当してきたので、その貯蓄が今になって効いて来ている実感があります。
「ひたすら弾くだけ!アコギ・トレーニング」では21の音楽ジャンルについての
模範演奏が入っています。これだけ沢山のジャンルが入っている本は恐らく存在しない
と思います。是非、読んで見て下さい。では!!

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