Q&A


  ■ピックの持ち方がなかなか定まらないのですが・・・
質問:はじめまして!ずっと独学でやってきたので、技術の見直しの
ためにいろいろとやっている中で『速弾きがうまくなる理由・ヘタな理由』
を読んで、目からうろこ的な発見と練習のヒントがいくつもありました。
まだ1ヶ月にもなりませんが基礎的な演奏技術がだいぶ改善されて、著者の
加茂さんにはたいへん感謝しています。『速弾きが…』をまだ消化していない
段階でこういうことを質問するのはちょっとためらいますが、ピックの持ち方と
アップピッキングについてアドバイスいただけないでしょうか。
オルタネートでもエコノミーやスウィープでもアップピッキングは意外に
難しいですよね。フランク・ギャンバレはおむすび型ピックを使っているそうですが、
ビデオを見るといくぶん握り込みな持ち方で、スウィープのアップピッキングでは弦に
対してダウン時よりも大きい角度をつけています。スピードピッキングの大御所に
こんなこと言うのもなんですけど、あれは握り込みな持ち方をしているのでアップ時に
ピックを支えきれず、ダウン時より角度をつけることで弦の抵抗を減らしているんだと思います。
で、『速弾きがうまくなる理由・ヘタな理由』の11ページにある写真の持ち方だと
アップピッキングがつらいです。ピックを支え切れません。これは違うんじゃないの?
と思っていたのですが、先日YouTubeで無茶苦茶速く人(速弾きでギネスに申請するとか(笑))
が弾いているのを見たら、親指と人差し指でまん丸を作って、そこにピックが挟まっている
程度の持ち方であ然としました。(もっともこの人、ピックガードに固定した薬指を
支点としてけいれんしたような腕振りピッキングに見えましたが…)
僕はジム・ダンロップのカメ.73とjazz IIIを使っていて、親指から出ているピックは
8ミリくらい、裏側の人差し指はアップ時のピックを支えるために僅かに下で、
人差し指の先端から出ているピックは6ミリくらい、アップでもダウンでも弦とピックは
ほぼ平行です。でもギャンバレや腕振りけいれんの人のように速く正確に弾けるわけでは
ありません。太い音を出すためにピックを深く当てて(1弦ではピックの先端から3ミリほど)、
ネックに近いところでピッキングしているせいもあると思いますが、何が正しいのか
わからなくなってしまいました。握り込みでも腕振りでも弾ければいいんだ!
ってことでしょうか?(from りょうさん)

回答:りょうさん、こんにちは。
まず、速弾きがうまくなる理由 ヘタな理由を読んでくださってありがとうございます。
初めての本ということもあったので、自分の人生のターニングポイントになる本だとも
思います。ということで、早速11ページについてなのですが、まず僕はあの速弾き〜
について、速弾きの事だけについて書いている訳では無いのです。こんな事言ったら
出版社のリットーミュージックに怒られるかもしれませんが、僕は速弾き専門のギタリスト
になる気は無いのです。メタル専門のギタリストになる気も無いのです。僕がやっている
レーベル「COMRADE RECORDS」ではクラシックのアーティストをリリースしている位ですから
加茂フミヨシのギタープレイという意味では、メタル&速弾き専門という事ではない、と
言う事は大前提になります。

では、僕にとって速弾きとはどういうものなのかと言うと、あの本の紹介文にもある
「一昔前までは“速弾き”というとHR/HMのイメージがありましたが、
近年ではJ-POPなどのヒット・ソングでも速弾きが行なわれており、もはや速弾きは
ギタリストの必須項目になっています。(by リットー額賀氏)」という認識なんですよ。
ですから、ピックの持ち方についても、速弾きとカッティングが同じレベルで出来ないと
僕にとっては「NO」ですし、速弾きとアコギ、速弾きとジャズ、・・・色々な音楽が
ありますよね。現代的な音楽には一曲の中に色々な音楽のエッセンスが凝縮されてます。
ギター・マガジン・オンラインにも書きましたが、代表的なのはStingとかです。
僕にとっては、ああいう音楽に対応できるギター奏法でありたいと思うんですよ。

りょうさんの問い合わせにもある、フランク・ギャンバレもそういう音楽性を
持っていますよね。速弾きギネスのギタリストについては良くわかりませんが、
少なくともギャンバレはそういう音楽性があると思います。彼、スティーリー・ダン
とか好きですよね、確か。それで、ギャンバレがピックの角度やピックを
ティアドロップにするかオニギリ型にするか、、等について
どこまで考えているか・・・はわかりませんが、少なくともギャンバレの弾き方は
ギャンバレらしい音楽性を表現するために必要なものなのです。その速弾きギネスの
方も同じだと思いますよ。個人的には、何センチ〜とかはあまり細かく気にしすぎない方が
良いと思います。(ギャンバレにとっても、あまり気にしていない事のような気が
個人的にはします。本の場合は、数値化した詳細のデータも載せられますが、それはあくまでも
ガイドラインにしかすぎないので、必ずこうしなければならないという意味ではありません。)
重要なのは「力が抜けているかどうか」です。どんな風にピックを持とうが、どんな風に
ピックを振ろうが、力んだ弾き方は音色が硬く、変化の乏しいサウンドになるので、
良い方向にはいきません。まずは、そこをチェックしてみたらいかがでしょうか。
もし、りょうさんが完全にリラックスして弾けているのであれば、それはりょうさんに
とって「向いている弾き方」なので、その弾き方の中で安定して弾けるようにして
いけば良いと思います。

ピックの持ち方については1ヶ月程度の練習時間ではピックを支えきれないのは
仕方ないでしょう。僕は半年かかりました。1年以上かかっている人も沢山いると
思いますよ。もう少し時間をかけたほうが良いように思います。

まとめますと、思考の優先順位としては・・・
1・力が抜けている、無理が無い、リラックスしている。
2・音色が良い(と自分自身で思えて、ある程度他人からも評判が良い)
3・ソロとバッキング両方弾ける(ソロとバッキングの割合は1対9!)
4・速く弾きやすい
(5・今や、エレキとアコギの両方弾くのは当たり前・・・)

という感じで考えていかないと、「4」だけを考えると結構損をすると思います。
ですから、回答としては「弾ければ良いんだ」ではなく、
「脱力、音色、バッキングへの対応」が加茂フミヨシにとっては速く弾く前段階
としてマストだ、とお考えいただければと思います。参考になれば幸いです!!

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